2020.12.21
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「世界遺産と食のツアー〜東南アジア〜
④フィリピン共和国
世界を旅するALSレストラン vol.2
レシピ提供:
フィリピン共和国(通称フィリピン)は、7109もの島々から成る、インドネシアに次ぐ世界第2位の群島国家です。そのうち名前がついている島は約4600で、ルソン諸島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島とスールー諸島の3つの大きなグループに分けられます。
日本からは直行便で4~6時間と近く、時差も1時間と少ないため、日本人が訪れやすい国として人気。特にフィリピン独特の風景に出会える以下の2つの世界遺産には、世界中から多くの観光客が訪れています。
記事の最後にはおすすめグルメとともにALS患者さん向けにアレンジしたレシピをご紹介していますので、フィリピン料理を味わいながら味覚の旅へと出発しましょう。
- 目次
【フィリピン・コルディリェーラの棚田群】
「天国への階段」と呼ばれる壮大で美しい景観
ルソン島の北部はフィリピンで最も山深い地域。その中のイフガオ州バナウェに、世界遺産に登録されている「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」があります。
コルディリェーラ山脈の急斜面に沿って広がるこの棚田は、全部つなげると地球半周、約2万kmにも及ぶと言われ、世界最大級の規模。切り拓いたのは、この地で古くから暮らしている少数民族イフガオ族の人たちで、その歴史は2000年以上とも言われています。
スケールの大きな棚田群は標高2,000mにまで達し、その美しく壮大な景観は、「天国への階段」または「世界の8番目の不思議」とも呼ばれています。とりわけ青々と育つ稲や、黄金色の稲穂に覆われる棚田群は壮観で、山間に連なる段々の水田が鏡のように空を映し、幻想的な景観を見せてくれます。
【ビガン歴史都市】スペイン統治時代の景観がそのまま残る海辺都市
ルソン島北部の西海岸沿いでは、スペイン統治時代の数々の文化遺産を目にすることができます。なかでも南イロコス州ビガンは、スペインやアメリカ、中国などの影響を受けたフィリピン独特の趣があり、その町並みの美しさから町全体が世界遺産に登録されています。
碁盤目状に整備された石畳の通り沿いには、16世紀の古くて和洋中が織り交ざった建物が立ち並び、その左右にはカフェやレストランのテラス席が。そこをカレッサ(馬車)が通る光景は、まさにタイムスリップしたかのようです。
他にも、ビガンの富裕層の人々の暮らしぶりをそのまま再現したクリソロゴ博物館や、サルセド広場の聖ポール大聖堂、州庁舎近くのマヤラ博物館など数々の名所が楽しめます。
スペイン語の「マリネ」が由来の家庭料理「アドボ」
スペイン統治時代の影響は、フィリピンの家庭料理にも残っています。その一つが「アドボ」という煮込み料理です。
アドボは、スペイン語で「マリネ」や「漬け込む」という意味があり、酢を主体とした調味料に肉などを漬け込んで調理する料理。酢の効果で柔らかくなった肉と、さっぱりした後味がごはんと相性抜群です。
フィリピンでは日常的に食べられている家庭料理で、具材や味付けに厳格な決まりはありません。家庭ごとに好みにアレンジしたアドボがあり、フィリピンの「おふくろの味」となっています。
ALS患者さん向け
アレンジレシピ
フィリピン風
豚肉の酢煮(アドボ)
フィリピンの「アドボ」と呼ばれる家庭料理をアレンジ。酢のおかげで肉は柔らかい仕上がり。優しい酸味が食欲をそそります。
栄養価(1人分)
- エネルギー
- 232 kcal
- たんぱく質
- 14.9 g
- 脂質
- 14.5 g
- 炭水化物
- 8.1 g
- 食物繊維
- 0.9 g
- 食塩相当量
- 1.4 g
材料(1人分)
- 豚ロース薄切り肉
- 70 g
- 玉ねぎ
- 1/4個(50 g)
- にんにく
- 1/2片(2 g)
- サラダ油
- 小さじ1/4 (1 g)
- Aしょうゆ
- 大さじ1/2 (9 g)
- A酢
- 大さじ1 (15 g)
- A水
- 大さじ1 (15 g)
- Aローリエ
- 少々
- 粗びき黒こしょう
- 少々
- 水溶き片栗粉
- 小さじ1 (5.5 g)
作り方
- (1)豚肉と玉ねぎは1cmの角切りにし、にんにくはみじん切りにします。
- (2)フッ素樹脂加工のフライパンに1のにんにくと油を入れて中火にかけます。香りがたったら、玉ねぎを炒めます。
- (3)玉ねぎがしんなりしたら、豚肉を加えて炒めます。豚肉が白っぽくなったら、Aを加えて蓋をし、弱火で20〜30分ほど煮ます。
- (4)煮汁が少なくなったら、こしょうを加えて、一度火を止めます。水溶き片栗粉を加えて混ぜ、再び火にかけてとろみをつけます。
料理を作る際の注意点
- ●当サイトのレシピは、「ユニバーサルデザインフード区分2」程度となるよう、0.3cm~1cm角切りを目安に作成しています。より嚥下が困難な患者さんには「さらに細かく切る、つぶす、すり鉢でする、ミキサーでペースト状にする」など、患者さんの状態にあわせて対応してください。また、少量のものはミキサーよりも、すり鉢の方が使いやすいこともあるので、食材により使い分けてください。
- ●ミキサーでペースト状にする際、固体だけのものは、水やだし汁を少量加えてミキサーにかけてください。うまくなじまないときは、市販のとろみ剤を水かだし汁に加えて作った「とろみあん」を加えてミキサーにかけてください。
本コンテンツの情報は公開時点(2020年12月21日)のものです。